コラム・その他 私の江ノ電ばなし

私の江ノ電ばなし 第六話 続・旧500形への思い

野口雅章 写真集『江ノ電305』著者

窓や扉が改造されたあとの500形。長谷にて。(1988年5月 筆者撮影)

前回、旧五〇〇形への思いを書かせていただいたが、今回は続行運転(前回の続き)を書きとめたい。

洗練されたスタイルだった旧五〇〇形も、長年使われ、問題点も生じてきた。例えば、車体側面の窓は、上から下に開ける下降式だったが、すきまから雨水が入り、車体が腐蝕する原因となった。また、特色だった前面左右の曲面ガラスも、維持するのには苦労があったらしい。客用扉の両開き式も、扉の幅がそれほど広くなかったので、はずれやすかったとも聞いている。

1980年代に入ると、これらの点を一挙に解決する改造工事が行われた。

すなわち、前面の曲面ガラスは、通常のガラス二枚ずつに分割され、開閉可能になった。これにより、乗務員室の通風が改善された。客用扉は、他の車両と同じく片開き式とされた。側面の車体裾は直線化され、丸みを帯びたイメージが薄らいだのだった。

これらの改良により、旧五〇〇形のイメージは一新された。実用本位になったと言ってもよいかもしれない。しかし、冷房化はされず2002~2003年に、二編成とも廃車される運命となった。ただ、台車などは、今の二〇形に引き継がれ使われている。

江ノ電は、まもなく開業一二〇年を迎える。長い歴史の中で、一番好きな車両は? と問われれば、迷いなく旧五〇〇形、特に五〇二編成を挙げたいと思っている。

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