私の江ノ電ばなし 第九話 記念のヘッドマーク
野口雅章 写真集『江ノ電305』著者
早いもので、今年ももう九月。九月は昔の暦(陰暦)で長月という。一説には、だんだん夜が長くなる季節だからとも言われる。ただ、文字だけ見れば「長」い「月」。長い歳月を走り続けてきたと言えば、我らが江ノ電だ。今年九月一日で、何と開業一二〇年を迎えた。
この一二〇年の紆余曲折については、本紙(江ノ電沿線新聞)の代田氏の連載に詳しく書かれている。歴史はそちらに譲り、いわゆる周年記念のヘッドマークについて、個人的感想を記したい。
私は1960(昭和35)年生まれなので、70年頃からの記憶となる。小学六年だった1972(昭和47)年、開業70周年の時は、各電車にヘッドマークが付けられた。嬉しくなって、写真を撮り歩いたのを覚えている。次の80周年も期待したが、この時のヘッドマークは三〇三号と五〇一号の二編成のみと淋しかった。
85周年、90周年は各車にヘッドマークが付けられた。一〇〇周年となった2002(平成14)年は、全車にステッカー、一部車両にヘッドマークだった。
そして迎えた一二〇周年。七月一日から、全車両に素敵なデザインのヘッドマークが付けられている。三〇〇形と一〇〇〇形は丸いマーク、それ以外は長方形。車両によって使い分けたのは、心憎い演出だと思う。
こうなると、次の一三〇周年にも期待してしまうのは、ちょっと気が早いかなぁ。※この記事は江ノ電沿線新聞2022年9月号に掲載されたものです。