神奈川どうぶつ図鑑『湘南の四季の野鳥~春編~』
写真・文 提供:えのぽ
野生・動物園・動物カフェなどなど
自然豊かな神奈川にはどうぶつ達がたくさんいます。
動物を観察することは癒されるだけでなく、学べることがたくさんあります。
神奈川で出会えるどうぶつ達の生態・生活をのぞいてみましょう。
今回のどうぶつは『湘南の四季の野鳥~春編~』です。今回は、春鳥といわれる野鳥を紹介しましょう。
①ウグイス/ ②キジ/ ③ヒバリ / ④ホウジロ
①「春告げ鳥」ウグイス
ご存じ「鶯」は「ホーホケキョ」と鳴き、繁殖期には、「ケキョ ケキョ ケキョ・・・・」とも鳴き「谷渡り」と呼ばれます。
声はよく聞くのですが、藪に隠れていて殆ど姿を見せません。「ウグイス嬢」とか「梅に鶯」などといいますので、美しい可愛い姿を思い浮かべますが、割と地味な姿をしています。
「梅に鶯」「ウグイス色」は、大きさも色も似ているメジロと誤認されたのだと思います。鶯の色は、緑というより暗緑茶です。
「ホーホケキョ」と可愛く鳴いているのは、「春告鳥」ともいわれるように春です。巣作りをする繁殖期の夏は、すざましく鳴き叫びます。老鶯とか乱鶯ともいわれます。
「谷渡り」は縄張り侵入者への警告
雄が縄張りを宣言するために「ホーホケキョ」と鳴き、「谷渡り」は縄張り侵入者への警告、威嚇です。藪で隠れて子育てをしている雌への合図でもあるようです。
古くは鳴き声を「ウーグイ」と聴いていたのが名の由来という説もあります。「法 法華経」に置き換えるようになったのは、江戸時代の頃からだそうです。
②「日本の国鳥」キジ
キジは、雄の羽が美しく日本の固有種で、桃太郎などの昔話によって親しみやすい存在で、昭和22年に国を代表する鳥として、国鳥に定められました。オスの顔は、真っ赤で男性的で迫力があります。
またメスは、母性愛が強く、芭蕉の句に
「 父母の しきりに恋し、雉子の声 」
があるように、雉の親子の情愛が深いといわれてきました。
求愛ディスプレイ
野鳥のガイドブックは求愛ディスプレイについて「オスは尾羽を広げ、翼を半開きにした状態で頭を下げる。メスが少し逃げると再びメスの前方へ回り込むのでメスの周りをぐるぐる回っているように見える。」と書いてありますが、筆者が目撃した時もまさにその通り(写真)でした。
昔から日本人には、親しまれた鳥
古くから貴族や武家の鷹狩りではキジが一番の獲物でした。
オスは繁殖期「ケーンケーン」と鳴きますが、「けんもほろろ」という言葉は、この「つっけんどん」な鳴き声に由来し、また、「頭隠して尻隠さず」のことわざも、草むらに隠れたつもりのキジの様子に由来しているとのことです。
現在では、あまり出会う機会がありませんが、昔から日本人には、親しまれた鳥だったことがわかります。
③「春の風物詩」ヒバリ
春先、農道を歩いていると、雲雀が空高く飛んでさえずっているのを見かけます。繁殖期の雄の縄張り宣言です。
それ以外は、地上での行動が多く、木や草にはあまり止まりません。丈の低い草が生えている開けた場所を好み地面を歩きながら草の実や昆虫を食べます。
頭頂の冠羽が可愛い
スズメより少し大きいくらいで、頭頂の羽がやや長く冠羽を形成していて、大変可愛らしい。
高空で、ピーチュク、チルルなど長く複雑な節回しさえずるので、ひばりの漢字も「雲雀」と書きますし、他、「告天子」などとも呼ばれます。英語も「Skylark」と空とつながっています。他方、体の寄生虫を追い出すたびに乾いた砂や土で「砂浴び」をします。
のどかな田園風景の風物詩
のどかな田園風景の風物詩として雲雀は、「永き日を囀り足らぬ雲雀かな」(芭蕉)など詠われていますし、音楽でもハイドンの弦楽四重奏曲にも、主題の旋律が雲雀の鳴き声を連想させる「ひばり」の愛称で呼ばれる曲があります。
④「頬が白い」ホオジロ
境川を散歩していますと、しきりに鳴き叫ぶ雀くらいの大きさの鳥によく出会います。
ホオジロは、河川敷や林縁にごく普通に生息する身近な鳥です。頬白と書き、頬が白いから名がつけられたと言われています。
「一筆啓上仕り候」(聞きなし)
鳥の鳴き声を人の言葉になぞらえることを「聞きなし」といいますが、ホオジロの場合は
「一筆啓上仕り候(いっぴつけいじょうつかまつりそうろう)」
と鳴いているといわれています。図鑑では「チョッピー、チチュ、チュチュチチュウ」と鳴くと書かれています。
あまり人を恐れない
比較的人を怖れないところがあり、写真など容易に撮れます。全身をふるわせてよく鳴くオスの姿を見かけます。囀る際に頬の白がよく目立ちます。親しみのわくかわいい鳥です。普段は、地上を跳ね歩いて種子等をあさりますが、繁殖期は昆虫などを食べます。
■参考・出典
ウィキペディア
「日本野鳥歳時記」大橋弘一著ナツメ社
ヤマケイ文庫「野鳥の名前」