神奈川どうぶつ図鑑『湘南の四季の野鳥~秋編~』
写真・文 提供:えのぽ
野生・動物園・動物カフェなどなど
自然豊かな神奈川にはどうぶつ達がたくさんいます。
動物を観察することは癒されるだけでなく、学べることがたくさんあります。
神奈川で出会えるどうぶつ達の生態・生活をのぞいてみましょう。
今回のどうぶつは『湘南の四季の野鳥~秋編~』です。秋によく見かけるおなじみの野鳥を紹介しましょう。
①モズ / ②ヒヨドリ / ③ムクドリ / ④バン
①気性の激しいモズ(百舌鳥)
百舌の高音とか百舌日和などといわれるように、秋になると木の頂や電柱に止まって「キイキイ キチキチ」と鋭い声で鳴いているのをよく見かけます。縄張り宣言です。20cm位の小鳥ですが、嘴は鋭い鉤状をし、獰猛で激しい気性をしています。
百舌(モズ)と書き、いろいろな鳥の鳴き真似をするという意味ですが、そこに「狡賢さ」を感ずるのでしょうか、「百舌勘定」という慣用句があります。勘定のとき、人にばかり金を出させて自分は少しも出さないことをいいます。この言葉は、「鳩と鴫と百舌が集まって15文の買い食いをしたが、鳩に8文、鴫に7文出させて、百舌は1文も出さなかった」という昔話から来ています。
飛蝗やカエルなどの獲物を枝に刺して保存する「百舌の早贄」の習性もあり、なかなかの用意周到の知恵者です。
②「日本準固有種」ヒヨドリ
ヒヨドリは、もっとも身近にみられる野鳥です。「ピイーヨ、ピイーヨ」と甲高い声でやかましく鳴きますが、この鳴き声が、ヒヨドリの和名の由来です。頬が赤く頭がぼさぼさで、春は、桜の蜜を吸って花粉をくちばしにつけて、受粉の仲介役を果たします。秋冬は、木の実など食べ、千両や万両など庭の実を食べによくやってきます。
繁殖期以外は群れで生活し、秋の渡りの時には、大群になります。藤沢でも近くの餌場を求めて、江ノ島島内と片瀬の陸地の間を群れで移動しています。その際、ハヤブサの攻撃を避けるため、ヒヨドリの群れは急降下して海面ギリギリに飛行します。
ヒヨドリは、日本列島や朝鮮半島など東アジアのきわめて限られた地域にしか生息しない日本準固有種。欧米のバードウオッチャーには珍しい存在で、日本へ来た実感が持てる鳥だそうです。
③田舎者集団ムクドリ
ムクドリは椋鳥と書き、椋木の樹洞に巣を作るから名づけられたといわれます。しかし、生息環境の変化により都市に適応して大量に増殖するようになり、夕方に群れが集まって街路樹などに大きな集団ねぐらを作り市民を困らせています。また「ジェル」「チツ」「ギュ」「ギル」などとちょっと耳ざわりな鳴き方で音量が大きく、糞や騒音被害で社会問題化しています。
俳人、一茶に「椋鳥と人に呼ばれる寒さかな」という俳句があります。田舎から江戸に出稼ぎに出てくる田舎者集団という意味で「椋鳥」とよんで揶揄されていたそうです。
④足が異常に大きいバン族
クイナ科のバン族に嘴の上部(額板:おでこ)が赤い「バン」と、白い「オオバン」がいます。湖沼や水辺の草むらにみられ、バンという和名は、田圃に棲み、いつも田から離れないので、田を守りその番をする鳥という意味だといわれています。
大きさは、オオバン(39cm)の方がバン(32cm)より少し大きいです。
足は大きく、足指が長くアンバランスなほどの足の大きさに驚かされます。特にオオバンは足の指にそれぞれ水かきがついていて「弁足」呼ばれます。(写真参照)よく潜水して藻を採食します。
■参考・出典
ウィキペディア
「日本野鳥歳時記」大橋弘一著ナツメ社
ヤマケイポケットガイド「野鳥」