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鎌倉殿がもっと楽しくなる!リレーコラム⑨地に落ちた源氏ブランド

岡 進(作家)

コロナ禍の社会「不要不急」の文字があちこちに溢れた。不要不急の殺戮さつりくを繰り返し血で血を洗い流したのが東国の武人たちだった。彼らは乱暴で粗野、一途に強く容易に殺すことを美徳とした。野蛮の肯定が自立の主張である。軟弱な京の文化、蹴鞠けまり、和歌などは侮蔑の対象で、接触して感染したくない。ところが、あろう事か、鎌倉殿頼朝が娘を天皇家の嫁にして欲しいと法皇に申し入れた。平清盛のように、娘に天皇の子を産ませ次代の天皇にして、自分は外祖父になろう、との魂胆がけて見えた。東国の武人は朝廷から独立すべく頼朝の下に集まっている。そんな彼らは鎌倉殿の行為に「朝廷との協調」を嗅ぎ取った。その瞬間、ミコシとして担いできた人寄せブランド源氏が地に落ちた。

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