続・湘南のお地蔵さま『卯地蔵』
中島淳一
辻堂駅北口からバスに乗り大六天で下車。目指す「宗賢院」の看板を右折し突当りの山門をくぐると、懐かしい里山の風景が広がる。この寺は曹洞宗に属し、永正二年(一五〇五)に虚堂玄白を開山として創建され、江戸時代には多くの末寺を有した格式の高い古刹である。
本堂手前に新造の六地蔵が祀られ、その中の合掌する地蔵尊が今年の干支「卯」に可愛らしく変身している。その姿から「卯地蔵」と命名させていただいた。
卯の名前を冠とするお地蔵さまに出会ったことはないが、仏像の中には卯に関係する尊像がある。一尊は東西南北などの八方と日・月・天・地各々の守護仏である十二天のうちの月天で、月の使者として卯を伴う。また薬師如来を護衛する十二神将のうち摩虎羅大将は卯年生まれの人々を守護すると言われる。
この可愛い卯の帽子はこの寺に縁のある方が、毎年その年の干支に因んで編んでくださるそうで、その姿を楽しみに参拝する初詣客も多いようである。
コロナ禍と共に、何やらきな臭い匂いもただよい始めた今年の新春だが、卯地蔵のお力で穏やかな日々が来ることを、耳を長くして待ちたいと願う。