鎌倉殿がもっと楽しくなる!リレーコラム④『佐殿は相撲がお好き』
大江昭子(鎌倉国宝館 学芸員)
鎌倉国宝館で、鎌倉殿の名場面を集めた浮世絵をご覧になっては如何?
江戸っ子に人気のドラマやキャラクターが描かれることが多い浮世絵。実は義時が描かれている作品は少なく、逆に多いのは義経。判官贔屓のニーズが高かったことが解る。その義時を始め鎌倉殿を彩る登場人物がオールスターキャストで描かれるのは、歌川国芳画「頼朝公御前相撲図」。「右兵衛佐(律令制における官司)頼朝」と書かれ、佐殿と呼ばれていたことも解る。吾妻鏡に安元二年(一一七六)十月と記された日、流人だった頼朝を慰めようと、伊豆の国赤澤山柏峠で狩が催され、余興に武者に相撲をとらせた。ガチンコは、大庭景親の弟で相撲の名手・俣野五郎と、曽我兄弟の父・川津祐康。祐康は後に「川津掛け」と呼ばれる技で五郎に勝つが、帰路に工藤祐経の郎従に暗殺され、仇討物語が幕を開ける。
ドラマを探しに、いざ鎌倉国宝館!