アイデア園芸『石のフォーカルポイント 《見せ場を作る》』
アウトテリア民園 井田洋介
日本庭園の庭先にさり気なく置かれた「蹲(つくばい)」は手水鉢の役割ばかりでなく、住む人の気遣いを感じさせます。
庭にひとつオブジェを置くと、景色が変わり、新たな趣のある庭になります。今回は石を使ったガーデンオブジェをご紹介します。
写真①は、豊作を祈る「田の神様」を置きました。広がっている緑の地面の上に平たい石に乗った「田の神様」がほほえましく癒されます。自然に木の下に視線を向けてしまいます。
写真②は、カイバオケ(馬の餌を入れる器)。昔中国で使われていたと言われています。下に砂利を敷いただけのシンプルな空間ですが、涼やかで、雰囲気ががらりと変わりました。
写真③の主役は、キノコのような形をしたオブジェ。かつてイギリスの穀物倉庫の基礎に使われていたものです。コニファーなどの緑や低い塀の上に這わせているロニセラ(赤色、薄いピンク色)がきれいに配置されている中で、キノコ型のオブジェがアクセントになり、全体的に洗練された雰囲気を作っています。
写真④は、インドの布や工芸品のイベント会場です。ポイントは手前にあるコネバチ。大理石を使っています。アイアンラックのような台を使って、空中に浮かすことで、モダンな雰囲気になります。アジアンテイストに溢れていますね。
石は強い印象になりがちですが、扉やフェンスなどの背景や、手前に敷く砂利、張り石など、周りの景色にバランスよくなじませると、フォーカルポイントとしての効果を発揮します。
また、洋風の庭に灯篭など和のものも合います。周りの植物などをシンプルにすると和洋がうまく溶け込みます。
見慣れた庭にフォーカルポイントをつくり、メリハリのあるステキな雰囲気の庭に変えてみませんか。
【今月の園芸作業】
アジサイの挿し芽に適した時期です。7月上旬までに行うとよいでしょう。花の咲いていない新芽を2節つけて挿すと、25日くらいで発根します。
また、生垣の刈込みにも適しています。ツツジなど花木の生垣は6月中に済ませ、それ以降は切らない方が良いでしょう。
【お知らせ】
〈 梅雨ですね 〉
梅雨の時期ではありますが、窓辺や玄関・お庭に好きな色のお花やさわやかな香りの植物を取り入れて、こんな時期でも楽しんでみませんか。
■アウトテリア民園
定休日、水曜、木曜日
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☎0466‐26‐1061