おでかけ 鎌倉江の島七福神のススメ

鎌倉江の島七福神のススメ『布袋尊』

江戸時代のお正月行事として一般化した七福神巡り。
鎌倉・江の島七福神は、お正月に限らず1年を通して参拝できます。

七福神にはそれぞれご利益があり、それぞれの神仏の出自を知ると、どんなご利益なのかがわかるのです!

江ノ電沿線新聞社発行の「七福神の伝来と鎌倉・藤澤 ~禍転じて福となす~(著者:大江昭子)」では、七福神の出自と伝来、そして、どのように私たちの町に伝えられて来たのかを知ることができます。

今回は「布袋尊」の章から一部をご紹介します。

布袋尊

布袋尊は、七福神の中では唯一実存した人物と言われていますが、その姿も素性も言動も伝説のようです。

出身地の中国で、布袋尊の伝記の中で最も信憑性があるとされているのが、北宋の景徳元年(1004)に道原どうげんが編纂した「景徳傳燈録けいとくでんとうろく」です。そこには、現在の浙江省の寧波ニンポー出身で、唐末期から後梁こうりょうの禅僧で、外見が肥えていて、鼻にしわを寄せて笑っていて、おなかが大きい等々のことが書かれています。

布袋尊の話すことは内容が定まらず、また、いろんな場所で寝てしまったようです。これは、世俗を捨てて、各地を放浪していたと言う意味です。布袋と言うくらいですから、布の袋を持っていて、食べ物や旅道具などが入っていたようです。お店に入って物を乞い、村でも人々から食べ物を貰って暮らしていたとも書かれています。現代なら変な人と思われるに違いありませんが、布袋尊には不思議な力があったので「散聖さんせい」と言われていました。

例えば、布袋尊は雪の中で横になって寝ていても、体は濡れていませんでした。人の吉凶を占っても、はずれることはなかったそうです。天から雨が降りそうになると布袋尊が濡れた草履をはいて走り、陽が照っている時は、高歯の木履をはいて橋の上で膝をたてて眠っていたので、人々は布袋の様子を見れば天気を予知することができました。人知の及ばない不思議な力、予知能力、イコール、幸運が訪れると言う信仰につながって行きました。

布袋尊は弥勒菩薩の化身と言われています。弥勒菩薩は五十六億七千万年の後に出現して、釈迦の説法に漏れた人々や仏法のおよばない世界を救済すると言われていますが、そんなに長いこと待てないので、時々、時代の終末に現れる救世主のような役割として理解され、布袋尊もその現れと信じられていました。

鎌倉の布袋尊の巡拝所は浄智寺です。境内は伽藍の遺構を後世に伝えるため、「浄智寺境内」として国の史跡に指定されています。開発を進めないこの地は、往時の鎌倉の風情を偲ぶためにあるようで、深く味わって頂きたいと思います。布袋尊の石造は、境内奥の洞窟に祀られています。お腹を撫でると元気をいただけるとのことで、多くの方に撫でられたお腹がツルツルになっています。袋を背負わずに「ほら、お宝はあなたの後ろにあるよ!」と指をさして笑う、愛嬌のあるお姿です。

浄智寺

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